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創業(開業)

マイクロ法人活用術:社会保険料を最適化する方法

2025年1月19日

フリーランスや個人事業主として活動していると、毎月の社会保険料の支払いに頭を悩ませることも多いのではないでしょうか。実は、マイクロ法人を設立することで、この負担を大きく軽減できる可能性があります。

特に年収200万円を超える方にとって、マイクロ法人の活用は魅力的な選択肢となります。役員報酬を月額6万3,000円以下に抑えることで、社会保険料を最小限に抑えられるだけでなく、年間55万円の給与所得控除も受けられるのです。

しかし、闇雲にマイクロ法人を設立すれば良いわけではありません。設立費用や維持コスト、将来の年金への影響など、考慮すべき点も少なくありません。この記事では、マイクロ法人による社会保険料削減の具体的な方法から、注意すべきリスクまで、プロの視点で徹底解説します。

あなたの状況に、マイクロ法人という選択肢は本当に適しているのでしょうか。一緒に考えていきましょう。

目次

マイクロ法人とは?

マイクロ法人は、従業員を雇わず代表者自身が1人で事業活動を行う会社のことを指します。この形態は、個人事業主やフリーランスが税金や社会保険料を節減するために設立することが多い会社形態です。

マイクロ法人と一般的な法人との違い

規模感・資本金額・役員人数など

マイクロ法人は、一般的に資本金数百万円以下、従業員数が数名以下の法人が該当すると考えられます。一般的な法人と比較して、以下の点が異なります。

  • 外部株主や従業員の有無:マイクロ法人にはなし(代表者一人)、一般的な法人にはあり
  • 設立の目的:マイクロ法人は節税のために設立するケースも、一般的な法人は事業経営・拡大や社会貢献

組織体制や運営コストの違い

マイクロ法人は、外部の株主や役員、従業員を置かずすべてを代表者1人が背負います。一方、一般的な法人は株主を広く集めて投資を募り、役員や従業員などを抱えて事業活動を行います。このため、マイクロ法人は一般的な法人と比較して運営コストが低くなる傾向があります。

マイクロ法人と個人事業主の違い

税制上の違い(法人税率と所得税率)

マイクロ法人は法人税が課税されるのに対し、個人事業主は所得税が課税されます。マイクロ法人にすることで、税務上のメリットを受けられる場合があります

社会保険・信用力・経費計上範囲の違い

  • 社会保険:マイクロ法人は法人化により社会保険の加入が原則となりますが、個人事業主は任意加入の国民健康保険に加入します。
  • 信用力:法人化することで、ビジネスの信頼性を高める効果があります。
  • 経費計上範囲:法人は個人事業主よりも広範囲の経費計上が可能です。

二刀流(個人事業+法人)のメリット・デメリット

個人事業主とマイクロ法人の二刀流で事業を行うことで、個人と法人に所得をうまく分散させ、適用される税率や支払う社会保険料の額を抑えられる可能性があります。

しかし、個人事業主とマイクロ法人で行う事業が同一の場合、税務署から「分ける意味がないのに税金逃れのために形だけ法人を作ったのではないか」と指摘されるリスクがあります。このため、二刀流を選択する際は慎重な検討が必要です。

マイクロ法人と個人事業主の二刀流についてはこちらの記事でくわしく解説しています。
マイクロ法人と個人事業主の二刀流で失敗しないための節税ガイド

マイクロ法人を設立する理由とメリット

マイクロ法人の設立は、個人事業主やフリーランスにとって様々なメリットをもたらす選択肢となっています。以下では、マイクロ法人を設立する主な理由とそのメリットについて詳しく解説します。

マイクロ法人を検討する主な目的

  • 社会保険料の削減
    • マイクロ法人を設立することで、社会保険料の負担を大幅に削減できる可能性があります。個人事業主として支払っていた国民健康保険や国民年金をマイクロ法人の健康保険、厚生年金に切り替えることで、保険料の支払い負担を相応に下げることが可能です。
  • 所得税・住民税などの税金対策
    • マイクロ法人設立の最大のメリットの一つは、所得税・住民税の節減です。個人事業とは異なる事業の売上をマイクロ法人で計上し、マイクロ法人から役員報酬として年間162万5千円以下の金額を受け取る形にすることで、55万円の給与所得控除が受けられます1。これにより、所得税と住民税の負担を軽減できます。
  • 信用力・取引機会拡大(法人格のメリット)
    • マイクロ法人を設立することで、取引先の信頼を得やすくなり、事業拡大につながる可能性があります。個人事業主の場合、「トラブルがあったときに保証されない」「事業実態を客観的に確認できない」といった印象を持たれることがありますが、法人格を持つことでこれらの懸念を払拭し、取引可能な会社が増える可能性があります。
  • 資金調達の可能性拡大
    • 法人化することで、金融機関からの融資を受けやすくなります。「法人でないと融資をしない」という金融機関もあるため、マイクロ法人の設立は資金調達面でも有利に働きます。

社会保険料の仕組みと個人事業主・サラリーマンとの違い

  • 社会保険(健康保険・年金)の基本
    • 社会保険制度は、健康保険と年金保険から構成されています。個人事業主とサラリーマン、そしてマイクロ法人では、適用される制度が異なります。
  • 国民健康保険・国民年金 vs 健康保険・厚生年金
    • 個人事業主は国民健康保険と国民年金に加入しますが、マイクロ法人を設立すると健康保険と厚生年金に加入することになります。この違いが、社会保険料の負担に大きな影響を与えます。
  • サラリーマンの場合:保険料は給与天引き、企業が半分負担
    • サラリーマンの場合、社会保険料は給与から天引きされ、その半額を企業が負担します。一方、個人事業主やマイクロ法人の場合は、全額を自己負担する必要があります。

マイクロ法人×個人事業主の“二刀流”による保険料削減

  • 役員報酬を極力低く設定 → 社会保険料ダウン
    • マイクロ法人を設立し、役員報酬を低く設定することで、社会保険料の負担を抑えることができます。具体的には、マイクロ法人から受け取る役員報酬を月額4万5,000円以下にすると、最低55万円の給与所得控除が受けられ、所得税と住民税をその分抑えられます。
  • 扶養家族を国民健康保険・国民年金側に残す場合のメリット
    • マイクロ法人を設立する際、扶養家族を国民健康保険・国民年金側に残すことで、さらなる保険料の削減が可能になる場合があります。
  • 所得分散効果(個人と法人の利益を分ける)
    • マイクロ法人と個人事業主の二刀流を活用することで、個人と法人に所得を分散させ、適用される税率や支払う社会保険料の額を抑えられる可能性があります。

具体的な節約額・年収ラインの目安

  • 年間所得200万円超あたりから検討する理由
    • 一般的に、年間所得が200万円を超えるあたりからマイクロ法人の設立を検討する価値が出てきます。これは、この収入レベルから社会保険料や税金の負担が大きくなり始めるためです。
  • 配偶者扶養の有無で設立基準は変わる?
    • 配偶者を扶養に入れている場合、マイクロ法人設立の基準が変わる可能性があります。配偶者の収入状況や扶養控除の適用条件を考慮して判断する必要があります。
  • マイクロ法人役員報酬月額63,000円以下の根拠
    • マイクロ法人から受け取る役員報酬を月額6万3,000円以下に設定する理由は、この金額で最大の給与所得控除を受けられるためです。これにより、所得税と住民税の負担を最小限に抑えることができます。

社会保険料を最安にする方法

マイクロ法人を設立する際、社会保険料を最小限に抑えるための方法について詳しく解説します。

役員報酬設定の考え方

月額63,000円以下にするメリット・デメリット

役員報酬を月額63,000円以下に設定することで、社会保険料と所得税を最小限に抑えることができます。

メリット

  • 社会保険料が最安の1等級(報酬月額63,000円未満)に該当する
  • 所得税が課税されない(年間収入55万円以下の給与所得控除を下回る)

デメリット

  • 生活費を確保するために他の収入源が必要
  • 将来の年金受給額が減少する可能性がある

定期同額給与・事前確定届出給与・利益連動給与とは?

マイクロ法人の役員報酬は、以下の3つの方法で設定できます。

  1. 定期同額給与:毎月同じ金額を支給
  2. 事前確定届出給与:年間の給与総額を事前に確定し、届け出る
  3. 利益連動給与:会社の業績に応じて変動する給与

マイクロ法人では、通常、定期同額給与を採用することが多いです。

税務・社会保険上で問題にならない範囲は?

税務上、役員報酬が著しく低額である場合、税務調査の対象となる可能性があります。一般的に、月額10万円程度以上であれば問題ないとされていますが、事業の実態や業界の相場を考慮する必要があります。

扶養家族の扱いと配偶者役員化の注意点

扶養の条件を満たすための配偶者非常勤役員という考え方

配偶者を非常勤役員として雇用し、年収103万円以下に抑えることで、配偶者の扶養控除を受けられる可能性があります。ただし、実際に業務を行っていることを示す必要があります。

逆に配偶者を非扶養にするときのメリット・デメリット

メリット

  • 配偶者の収入制限がなくなり、より高い報酬を設定できる
  • 会社の経費として計上できる人件費が増える

デメリット

  • 扶養控除が受けられなくなる
  • 配偶者の社会保険料負担が増加する

将来の年金への影響

  • 低報酬による将来受給額の減少リスク

役員報酬を低く抑えることで、将来の年金受給額が減少するリスクがあります。厚生年金の受給額は、加入期間中の標準報酬月額に基づいて計算されるため、長期的な視点で検討する必要があります。

  • 老後資金は自力で積み立てる必要性(iDeCoなど)

年金受給額の減少リスクに備えるため、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)などを活用して、自力で老後資金を積み立てることが重要です。

社会保険料削減と税金(所得税・住民税)とのバランス

社会保険料の削減と税金のバランスを考慮する必要があります。役員報酬を低く抑えることで社会保険料は削減できますが、同時に所得税や住民税も減少します。

法人住民税の均等割(赤字でも発生する)との兼ね合い

法人住民税の均等割は、会社の規模や資本金に応じて決まり、赤字でも支払う必要があります。マイクロ法人の場合、年間数万円程度の負担となることが多いため、この点も考慮して役員報酬を設定する必要があります。

個人所得を低くしすぎることによる弊害

役員報酬を極端に低く設定すると、以下のような弊害が生じる可能性があります。

  1. 生活資金の不足
  2. 将来の年金受給額の減少
  3. 金融機関からの融資を受けにくくなる
  4. 税務調査のリスク増加

適切な役員報酬の設定には、社会保険料の削減、税金の最適化、生活資金の確保、将来の年金受給額など、多角的な視点からの検討が必要です。専門家のアドバイスを受けながら、自身の状況に合わせた最適な方法を選択することが重要です。

マイクロ法人設立にかかる費用・維持コスト

マイクロ法人の設立と維持には、様々な費用と手続きが必要です。以下では、設立時に必要な費用と維持に必要な費用、そして事務手続きや労務管理の手間について詳しく説明します。

設立時に必要な費用

マイクロ法人を設立する際には、以下の費用が必要となります。

定款認証費用・登録免許税・印紙代など

  • 定款認証費用:株式会社の場合は約4万円、合同会社の場合は不要です。
  • 登録免許税:株式会社の場合は15万円、合同会社の場合は6万円です。
  • 印紙代:定款作成時に必要で、4万円かかります。

法人印鑑・資本金の払い込み

  • 法人印鑑:約4,000円程度で作成できます。
  • 資本金:法律上の下限はありませんが、社会的信用を得るために適切な金額を設定することが推奨されます。

合計すると、株式会社の場合は約24万円、合同会社の場合は約10万円の設立費用が必要となります。

維持に必要な費用

マイクロ法人を維持するためには、以下の費用が継続的に発生します。

法人住民税(均等割)

法人住民税の均等割は、会社の規模や資本金に応じて決まり、赤字でも支払う必要があります。マイクロ法人の場合、年間数万円程度の負担となることが多いです。

顧問税理士費用・記帳代行費用など事務コスト

  • 顧問税理士費用:月額2万円~5万円程度
  • 記帳代行費用:月額1万円~3万円程度

これらの費用は、会社の規模や取引量によって変動します。

決算申告の費用・法人口座管理など

  • 決算申告費用:年間10万円~30万円程度
  • 法人口座管理手数料:月額数百円~数千円程度

事務手続きや労務管理の手間

マイクロ法人の運営には、様々な事務手続きや労務管理が必要となります。

社会保険・雇用保険の加入手続き

マイクロ法人を設立すると、原則として社会保険(健康保険・厚生年金)と雇用保険に加入する必要があります。これらの手続きには時間と労力がかかります。

各種届出(税務署・都道府県税事務所・市区町村など)

マイクロ法人の設立後、以下の機関に各種届出を行う必要があります:

  • 税務署:法人設立届出書、青色申告の承認申請書など
  • 都道府県税事務所:法人設立届出書
  • 市区町村:法人設立届出書

これらの手続きは複雑で時間がかかる場合があるため、専門家のサポートを受けることをお勧めします。

マイクロ法人の設立と維持には、上記のような費用と手間がかかります。しかし、適切に運営することで、社会保険料の削減や税制上のメリットを享受できる可能性があります。個人の状況に応じて、メリットとデメリットを慎重に検討することが重要です。

マイクロ法人設立のデメリット・リスク

マイクロ法人の設立には様々なメリットがありますが、同時にデメリットやリスクも存在します。以下では、主要なデメリットとリスクについて詳しく説明します。

社会保険料が増えてしまう可能性がある

役員報酬の設定によってはかえって高くなる

マイクロ法人を設立する際、役員報酬の設定によっては社会保険料が増加してしまう可能性があります。

例えば、役員報酬を高く設定しすぎると、社会保険料の算定基礎となる標準報酬月額が上がり、結果として社会保険料が増加してしまいます。

法人側の負担も生じるためトータル負担増のリスク

マイクロ法人を設立すると、個人事業主の場合と異なり、法人側も社会保険料の負担が生じます。これにより、トータルでの社会保険料負担が増加するリスクがあります。

税務上の問題

あまりに不自然な給与設定や所得分散

税務上の問題を避けるためには、不自然な給与設定や所得分散を行わないことが重要です。例えば、マイクロ法人の役員報酬を極端に低く設定し、個人事業の所得を高くするなど、明らかに税金逃れを目的とした所得分散は、税務調査の対象となる可能性があります。

ペーパーカンパニーと疑われないための実態確保

マイクロ法人がペーパーカンパニーと疑われないためには、実際の事業活動を行っていることを示す必要があります。具体的には、以下のような点に注意が必要です。

  • 事業に必要な設備や備品の保有
  • 取引先との実際の商談や契約書の存在
  • 従業員の雇用(パートタイムでも可)
  • 事業に関連する経費の発生

法令・税制の変更リスク

健康保険・厚生年金の制度見直し、税制改正

法令や税制は常に変更される可能性があります。特に、健康保険や厚生年金の制度見直し、税制改正などは、マイクロ法人の運営に大きな影響を与える可能性があります。

最初は得でも将来改正で逆効果になる可能性

現在のマイクロ法人設立のメリットが、将来の法改正によって逆効果になる可能性があります。例えば、社会保険料の算定方法が変更されたり、法人税率が引き上げられたりする可能性があります。

将来的な影響・デメリット

老後の年金額が下がる / 雇用保険が受けられない

役員報酬を低く抑えることで、将来の年金受給額が減少するリスクがあります。また、雇用保険の加入条件を満たさない場合、失業給付を受けられない可能性があります。

信用力維持のための稼働実態が必要

マイクロ法人の信用力を維持するためには、継続的な事業活動と稼働実態が必要です。単に法人格を持っているだけでは、取引先や金融機関からの信用を得ることは難しいでしょう。

日々の事務・会計・役所対応の手間

マイクロ法人の運営には、日々の事務作業、会計処理、役所への各種届出など、個人事業主よりも多くの手間がかかります。具体的には以下のような作業が必要となります:

  • 法人決算の作成(貸借対照表、損益計算書など)
  • 法人税の申告
  • 社会保険関連の手続き
  • 役員変更や本店移転時の登記手続き

これらの作業を自身で行う場合は相当の時間と労力が必要となり、税理士や社会保険労務士に依頼する場合は追加のコストが発生します。

マイクロ法人の設立を検討する際は、これらのデメリットやリスクを十分に理解し、自身の状況に照らし合わせて慎重に判断することが重要です。専門家のアドバイスを受けながら、長期的な視点で意思決定を行うことをお勧めします。

マイクロ法人を設立すべきか迷ったら

マイクロ法人の設立は、個人の状況や事業の規模によって判断が分かれる選択肢です。以下では、マイクロ法人の設立をおすすめできるケースと、再考した方がよいケースについて詳しく解説します。

設立をおすすめできるケース

  • 個人事業の所得が一定以上あるフリーランス・自営業者
    • 年間所得が200万円を超えるフリーランスや自営業者にとって、マイクロ法人の設立は有効な選択肢となります。マイクロ法人を設立することで、所得税・住民税の節減が可能になります。具体的には、マイクロ法人から役員報酬として年間162万5千円以下の金額を受け取ることで、55万円の給与所得控除が受けられ、所得税と住民税の負担を軽減できます。
  • 配偶者の扶養を有効活用したい人
    • マイクロ法人を設立し、配偶者を非常勤役員として雇用することで、配偶者の扶養控除を受けながら事業を展開できる可能性があります。ただし、実際に業務を行っていることを示す必要があるため、適切な役割分担と報酬設定が重要です。
  • 新規事業を二刀流で進めたい人
    • 既存の事業とは別に新規事業を展開したい場合、マイクロ法人の設立は有効な選択肢となります。個人事業と法人事業を並行して運営することで、リスク分散や税制上のメリットを享受できる可能性があります。
  • 法人としての信用力・資金調達力が必要な人
    • マイクロ法人を設立することで、個人事業主よりも社会的な信用を得やすくなります。これにより、金融機関からの融資を受けやすくなったり、法人としか取引をしない企業とも取引が可能になったりします。事業拡大や資金調達を考えている場合、マイクロ法人の設立は有効な選択肢となるでしょう。

設立を再考した方がよいケース

  • サラリーマンで既に勤務先の社会保険に加入
    • 既に勤務先の社会保険に加入しているサラリーマンの場合、マイクロ法人を設立するメリットが限定的になる可能性があります。社会保険料の削減効果が得られず、むしろ法人設立や維持にかかる費用が負担になる可能性があるためです。
  • 利益が少なく均等割や記帳コストすら負担が難しい
    • マイクロ法人を設立すると、赤字経営であっても法人住民税の均等割を支払う必要があります。また、決算申告や記帳の手続きが複雑になり、税理士への依頼費用などのコストが発生します。利益が少ない場合、これらの費用が大きな負担となる可能性があるため、設立を再考した方がよいでしょう。
  • 老後保障をしっかり確保したい人(厚生年金のメリットを捨てたくない)
    • マイクロ法人の役員報酬を低く抑えることで、将来の年金受給額が減少するリスクがあります。老後の年金を重視する場合、マイクロ法人の設立によって厚生年金のメリットを失うことは大きなデメリットとなる可能性があります。

マイクロ法人の設立を検討する際は、自身の状況や将来の展望を十分に考慮し、専門家のアドバイスを受けながら慎重に判断することが重要です。設立のメリットとデメリットを比較し、長期的な視点で意思決定を行うことをお勧めします。

サラリーマンがマイクロ法人を設立する方法についてはこちらの記事でくわしく解説しています。
サラリーマンがマイクロ法人を設立する完全ガイド

マイクロ法人の具体的な作り方

マイクロ法人の設立は、一般的な法人設立と同様の手順で進めます。以下、6つの主要ステップに沿って具体的な作り方を解説します。

会社概要を決める(商号・事業目的・役員構成など)

まず、会社の基本情報を決定します。

  • 商号(会社名):ユニークで事業内容を反映した名称を選びます。他企業との重複がないか確認しましょう。
  • 事業目的:会社が行う事業内容を具体的に記載します。
  • 役員構成:取締役や監査役の人数と氏名を決定します。
  • 本店所在地:会社の主たる事務所の住所を決めます。
  • 資本金額:事業規模に応じて適切な金額を設定します。

定款の作成・認証

定款を作成し、公証役場で認証を受けます。

ポイント

  • 電子定款を活用することで、印紙税(4万円)の支払いを免れることができます。
  • 定款には会社名、事業目的、本社所在地、出資者、取締役の氏名などを記載します。

資本金の払い込みと払込証明書の取得

決定した資本金を銀行口座に払い込み、払込証明書を取得します。

登記申請書の作成・提出

必要書類を揃えて法務局に登記申請を行います。主な必要書類は以下の通りです。

  • 登記申請書
  • 定款
  • 資本金の払込証明書
  • 取締役の就任承諾書
  • 印鑑届出書

登記完了後、法務局で登記簿謄本と印鑑証明書を取得します。

法人印の作成、法人用口座の開設

会社の実印を作成し、法人名義の銀行口座を開設します。

税務関係の届け出

法人設立後、以下の届出を行います。

  • 法人設立届出書(税務署)
  • 法人事業開始届出書(都道府県税事務所)
  • 法人住民税申告書(市区町村)

従業員を雇用する場合、給与支払事務所等の開設届出や源泉徴収に関する手続きを行います。

社会保険・労働保険の手続き

従業員を雇用する場合、以下の手続きを行います。

  • 健康保険と厚生年金保険の新規適用手続き
  • 労災保険と雇用保険の加入手続き

これらのステップを順に進めることで、マイクロ法人を設立することができます。ただし、手続きの詳細や必要書類は状況によって異なる場合があるため、専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

マイクロ法人の作り方についてはこちらの記事でくわしく解説しています。
マイクロ法人の作り方|節税効果やメリット・デメリット完全ガイド

専門家に相談すべきポイント

マイクロ法人の設立と運営には、専門的な知識と経験が必要です。以下、専門家に相談すべき重要なポイントについて詳しく解説します。

税理士や社労士へ相談する重要性

正しい役員報酬設定・税務処理

税理士に相談することで、マイクロ法人の役員報酬を適切に設定し、税務処理を正確に行うことができます。これにより、税務調査のリスクを軽減し、効果的な節税を実現できます。具体的には、以下のようなアドバイスが得られます。

  • 法人と個人の所得配分の最適化
  • 社会保険料と税金のバランスを考慮した役員報酬の設定
  • 経費の適切な計上方法

マイクロ法人の税理士の選び方についてはこちらの記事でくわしく解説しています。
マイクロ法人に税理士は必要?費用相場やメリット・デメリットを徹底解説

社会保険・労働保険の手続きサポート

社会保険労務士(社労士)に相談することで、複雑な社会保険や労働保険の手続きをスムーズに行うことができます。特に、以下の点でサポートを受けられます。

  • 健康保険・厚生年金の加入手続き
  • 労災保険・雇用保険の適用判断と手続き
  • 従業員を雇用する際の労務管理アドバイス

会社設立サービス・代行の活用

設立費用・手間の削減

会社設立サービスや代行を利用することで、設立にかかる費用と手間を大幅に削減できます。これらのサービスは以下のような利点があります。

  • 必要書類の作成支援
  • 行政機関への提出代行
  • 設立手続きの進捗管理

節税・補助金情報のアドバイス

専門家に相談することで、最新の節税策や利用可能な補助金の情報を得ることができます。これにより、以下のようなメリットが得られます。

  • マイクロ法人に適した節税方法の提案
  • 業種や事業規模に応じた補助金の紹介
  • 申請書類の作成サポート

バーチャルオフィスの活用

住所公開リスクの軽減

バーチャルオフィスを利用することで、自宅住所を公開するリスクを軽減できます。これは特に以下の点で有効です。

  • プライバシーの保護
  • 自宅への訪問者や迷惑メールの減少
  • 法人登記に必要な住所の確保

都市部の信用力向上

都市部の一等地にバーチャルオフィスを設置することで、会社の信用力を向上させることができます。これにより、以下のような効果が期待できます。

  • 取引先からの信頼性向上
  • 金融機関からの融資を受けやすくなる
  • 優秀な人材の採用がしやすくなる

マイクロ法人の設立と運営には多くの専門知識が必要です。税理士や社労士、会社設立サービスなどの専門家に相談することで、効率的かつ適切な法人運営が可能になります。また、バーチャルオフィスの活用は、コスト削減と信用力向上の両面で有効な戦略となります。

まとめ

マイクロ法人は、代表者1人で運営する小規模な法人形態で、主に個人事業主やフリーランスが税金や社会保険料を節減するために設立します。主なメリットとしては、社会保険料の負担軽減、所得税・住民税の節税効果、法人としての信用力向上、資金調達の可能性拡大などが挙げられます。

一方で、デメリットやリスクも存在します。設立時には定款認証費用や登録免許税など約24万円(株式会社の場合)の費用が必要で、維持費用として法人住民税の均等割や顧問税理士費用なども発生します。また、役員報酬を低く抑えることで将来の年金受給額が減少するリスクや、不自然な給与設定による税務調査のリスク、法令・税制の変更リスクなども考慮する必要があります。

マイクロ法人の設立を検討する際は、これらのメリット・デメリットを十分に理解し、自身の状況に照らし合わせて慎重に判断することが重要です。特に、税理士や社会保険労務士などの専門家に相談しながら、長期的な視点で意思決定を行うことが推奨されます。