税理士の断り方、じつは鉄板の断り方があって、それは以下の2つです。
- 知人が税理士として独立して、以前から顧問税理士にする約束をしていた。
- 取引先との提携で、取引先指定の税理士との契約を求められた。
じつは、感情的になったりするのはダメですが、断ることが前提なら、真実を告げても、契約解除ができなかったり、もめることもあります。また、税理士側にも契約を継続したいという場合もあります。
そのため、断ることが前提なら、本当の理由より、実務で使われるありきたりな理由の方が効果が高いこともあります。
この記事では、税理士変更での断り方で
- やってはいけないNGポイント
- もめないためのポイント解決方法
- 税理士変更でよくあるトラブル2つのポイント
- 税理士を変更する具体的な手順
- 税理士変更の具体例
といった内容を税務の実務に通算18年従事した私の経験を基に解説しました。
ぜひ最後までご一読ください。
契約中の税理士に対する悩みの具体例
税理士との契約中には、様々なお悩みや疑問が生じることがあります。代表的なものを以下にご紹介します。
対応に不満がある
税理士とのコミュニケーションや対応に不満を感じる。
電話やメールの返信が遅く、疑問や相談に対して十分な説明をしてもらえないなど、満足のいく対応が得られない場合があります。
例えば、確定申告の期間中は税理士の業務が集中するため、忙しさから対応が滞りがちになることもあります。しかし、顧客としては自分の要望や疑問に対してきちんと対応してもらいたいと思うのは当然です。
思ったような節税対策や節税効果を得られていない
節税対策は多くの経営者にとって重要な課題です。しかし、現在の税理士との連携によって思ったような節税対策や節税効果を得られていない場合は、税理士の変更を考えることがあります。
税理士へのニーズが変化した
経営や事業の状況が変化すると、税理士へのニーズも変わることがあります。例えば、事業拡大や新たな投資を行う場合、節税対策や財務のアドバイスを求めることが増えるかもしれません。
また、経営者自身が税務や会計について学び、より深い理解を持つようになった場合も、税理士に求める役割や専門知識のレベルが変わる可能性があります。
自社の経営方針が変わった
経営者の意向やビジョンが変化した場合、それに合わせた税務対策やアドバイスが必要となります。自社の経営方針に沿ったサポートが得られない場合は、税理士を変更することが考えられます。
経営者が代替わりした
会社の経営者が代替わりした場合、新たな経営陣は自身の経営方針やビジョンを実現するために、税理士との連携を重視することがあります。このような場合、税理士を変更することで経営者の意向を反映しやすくなるかもしれません。
税理士事務所の担当者が変わった
税理士事務所の担当者が変更になることもあります。担当者によって対応や提案内容が異なるため、相性や信頼関係の変化によって税理士を変更するケースも考えられます。
税理士の変更は重要な決断です。次に進む前に、具体的な手順を確認していきましょう。
税理士の報酬が高いと感じている
税理士の報酬は企業にとって経費となります。報酬額が高いと感じた場合、他の税理士事務所
税理士変更の断り方でやってはいけないNGポイント
よくありがちな、やってはいけない税理士の断り方は以下二つです。
やってはいけない断り方
税理士への不満を理由にする
顧問料の高さを理由にする
税理士への不満を理由にする
税理士への不満として、
- メールや連絡のレスポンスが遅い
- 税務調査の対応がまずかった
- 節税や経営についてのアドバイスがない
など、税理士への不満があったとしても、それをそのまま断る理由にするのはおすすめしません。
改善してほしいという要望ならともかく、「もう断りたい」という段階なら、例え事実であっても非難するような理由は避けましょう。プライドの高い税理士だと反論し、もめる元にもなります。
顧問料の高さを理由にする
顧問料が高いことが理由でもそれを伝えるのはやめた方が良いです。
顧問料の値下げ目的ではないのに、顧問料の高さを理由にすると、顧問料を下げることを提示され断れなくなってしまっては本末転倒です。
もめないためのポイントと解決方法
税理士変更で円満に断るには、できるだけ穏便に慎重に事を進めていくのがおすすめです。
もめないためのポイント
- 誠実に変更理由を伝える
- 税理士に対して変更理由を誠実に伝えることで、信頼関係を損なわず円満な変更が可能となります。例えば、「新しい事業展開に対応できる専門家が必要」と率直に説明することで理解してもらえるでしょう。
- 軋轢を回避するために「やむを得ない事情」を伝える
- もし税理士との間に軋轢がある場合は、円満な変更を求めるために「やむを得ない事情」を伝えると良いです。
- 感謝の気持ちを忘れずに伝える
- 感謝の気持ちを伝えることで、円満な離脱を促すことができます。現在の税理士との間に良い関係があった場合には、その点を強調することが大切です。
契約解除を拒否された場合の対応
税理士に断りを入れても、まれに税理士が応じてくれない場合もあります。税理士側にとっても顧客を失うのは損失ですから必死にもなります。
とはいえ、サービスを受ける側は、対価を支払って受けるわけで、選択の自由ももちろんあります。
とりあえず、穏便に交渉したうえでうまくいかなければ、一旦は税理士会に相談してみるのも一つの方法です。
税理士は税理士会に登録することで税理士業務が可能になります。そのため、必ず地域の税理士会に所属しています。
税理士変更でよくあるトラブル2つのポイント
税理士変更では、実務上トラブルが多いのが、以下の2つの項目です。
よくあるトラブルのポイント
- 中途解約の違約金
- 総勘定元帳や会計データなどの引継ぎの権利
中途解約の違約金
契約書には、以下のような情報が記載されています。
- 契約期間: 契約開始日と終了日
- 解約条件: 解約できる時期、必要な手続き、違約金の有無
- 顧問料: 報酬額、支払い方法
- その他: 守秘義務、紛争解決方法など
契約書に違約金に関する条項があれば、事業年度中途解約の場合に請求される可能性があります。
違約金の具体的な金額は、契約内容によって異なりますが、一般的には、残りの契約期間分の顧問料の全額または一部が請求されます。
税理士変更を検討する前に、現契約書の内容を必ず確認しましょう。
総勘定元帳や会計データなどの引継ぎの権利
税理士が記帳代行していた場合の総勘定元帳や会計データの引き渡しの対応は税理士によって違います。
税理士変更と同時に引き渡してくれる税理士が大半です。
ただし、税理士によっては以下2つの対応をする税理士もいます。
- 別途料金を請求して引き渡す
- 引き渡し自体に応じない
税理士が記帳した場合の総勘定元帳や会計データの引き渡しについては、必ず税理士に義務があるわけではないです。
別途料金が必要と主張する場合は、単に有料サービスという認識ですが、引き渡しに応じない場合は、税理士変更に納得がいかないことに端を発した場合が多いです。
総勘定元帳や会計データは、次の税理士に引き継ぐ際に必要です。現税理士と解約する前に、引き渡しできるように契約内容を確認し、事前に打診しておきましょう。
税理士を変更する具体的な手順
税理士の変更を検討する場合、以下の手順に従って進めることをおすすめします。
税理士変更手順❶ 切替タイミングを検討する
新しい税理士への切り替えタイミングの重要性
現契約税理士との契約と新しい税理士との契約は、税理士に相談の上、
変更日をきっちり日付で設定します。
変更日をきっちり日付で設定するのは重要です。
例えば、消費税には、「簡易課税制度」という制度があります。簡単にいうと、小規模事業者は簡易な計算方式で消費税の申告書を作成できるという制度です。(制度の詳しい説明は割愛します。)
この制度の届出期限は、「制度を適用したい事業年度の開始の日の前日」です。
事前届出制なので、忘れると取り返しがつきません。
税務上は、この手の制約がけっこうあるので、とくに税理士変更では、現契約の税理士と新しい税理士との間で責任の所在をはっきりしないとトラブルのもとになります。
税理士変更のベストなタイミング4つのポイント
税理士を変更する際のベストなタイミングを以下にご紹介します。
法人税申告書を提出した直後
法人税申告書の提出後は、税務処理のピークが過ぎ、税理士の業務に余裕が生まれる場合があります。このタイミングを利用して、税理士の変更を検討することができます。
また、新しく関与する税理士としては、会社のことをよく知らないので、決算まで、できるだけ期間があった方がよいです。
その間に、事業の状況、財務状況、経理の状況などを把握でき、税務会計処理によるミスを減らすことができるからなんですね。
その観点も踏まえると、法人税申告書を提出した後、できるだけ早いほうがベストということになります。
ポイント
法人税申告書を提出した後でできるだけ早いタイミング
税務調査が入った場合は修正申告書を提出した直後
税務調査が入った場合、修正申告書の提出が求められることがあります。このタイミングを利用して、税理士の変更を検討し、新たな税理士との連携をスムーズに進めることができます。
決算の3ヶ月前からは変更しないのが無難
決算の準備や報告書の作成には時間と労力がかかります。税理士を変更する場合、決算の3ヶ月前からは変更しない方が無難です。十分な準備期間を確保し、円滑な業務遂行ができるようにしましょう。
決算月・確定申告時期など税務が忙しい月は避ける
税理士の業務においては、決算期や確定申告期間などが忙しい時期が存在します。税務処理が集中する月は、税理士が多忙となり対応が滞る可能性が高いため、変更のタイミングを避けることが望ましいです。
ちなみに法人の税務申告は、決算日後2か月以内になります。一般的には会社の決算は3月決算が最も多く、次いで3の倍数である6月・9月・12月が多いです。
そこから算定すると、3・6・9・12月の2か月後なので、5月・8月・11月・2月が忙し
預あるので、手元に控えがない場合は現契約の税理士に確認してみましょう。
税理士変更手順❷ 次の税理士を探す
新たな税理士を見つけるためには、じっくりと調査や比較を行う必要があります。周囲の事業者や経営者からの口コミや評判を聞いたり、インターネット上の情報を参考にしたりすることが有効です。
また、自身のニーズに合った税理士を選ぶために、事前に求めるサービスや専門知識、実績などを明確にしておくことが重要です。
意外かもしれませんが、解約をする前に次の税理士を探しておきます。
次の税理士が決まらずに税理士契約を解約してしまうと、
- 決算を迎えた場合、決算が組めず税務申告・納税が遅れる
- 税務調査が来た場合、立ち会い税理士なしの対応になってしまう
というリスクがあります。
ですから、現契約の税理士との契約を解約するときは、次の税理士が決まってからにしましょう。
税理士の選び方
税理士変更で失敗しないために、最も大事なのは税理士の選び方です。以下の8つを基準にして選びましょう。
ポイント
- スキル・経験年数
- 人柄
- サービス内容
- あなたとの相性
- 税理士報酬
- ITリテラシー
- 事務所規模
- 顧客の業種
スキル・経験年数
税理士は、税理士試験の合格と2年の実務経験で登録することが可能になります。ただ、実務経験としては5年のキャリアは必要です。
スキルとしては、一般的な決算書・申告書作成などはできるはずなので、融資などの資金調達に知見があるか?税務調査の立ち会い経験は豊富か?というところが分かれ道になってきます。
人柄
人柄が誠実かどうかは会って判断するよりありません。面談したうえで判断しましょう。
サービス内容
サービス内容は以下のことをチェックしましょう
- 顧問契約でやってくれるのはどういう業務か?(月の訪問の有無など)
- 記帳代行はやってくれるか?
- 担当するのは税理士か?スタッフならキャリアはどれくらいか?
- 年末調整業務はやってくれるか?別途請求されるのか?
あなたとの相性
相性は抽象的な表現になりますが、あなたと「合う」かどうかです。会って話したときの感覚なので、直感的な判断ですが、意外と大事です。最初に違和感を感じたり、苦手意識が生じる場合は無理せず断りましょう。
税理士報酬
税理士報酬は何を基準に決められているか、料金表があれば確認しましょう。また事前に相場を知っておくと、判断するのに困りません。
ちなみに法人の顧問料・決算報酬の相場と個人事業主の顧問料・決算報酬の相場は以下のとおりです。
法人の顧問料の相場
顧問料‥‥月額3万円
決算報酬‥月額顧問料の4~6ヶ月分
個人事業の顧問料の相場
顧問料‥‥月額2万円
決算報酬‥10万円位
ITリテラシー
社会のデジタル化の波に呼応して税務行政のデジタル化も急速に進んでいます。今般話題になったものに電子帳簿保存法があります。
2022年1月改正予定だった電子帳簿保存ですが、2023年12月までに行われたものに関しては紙保存が認められます。ただ、今後は電子データでの保存が進んでいくのはまちがいないです。
一見、電子化は便利なようですが、保存方法にも要件があり、実務上は正確な手続きが求められます。
情報感度が高くある程度ITの知識がないと、的確なアドバイスができず、保存要件を満たさないという理由で税務調査で否認されることになりかねないです。
事務所規模
個人事業主や小さな会社の場合、大手税理士法人などではなく、個人の税理士事務所又は小規模な事務所をおすすめします。事務所規模が小さいところは代表である税理士が担当につくことが多いです。スキルや経験的に申し分ないのと、税理士自信が一事業主なので、あなたの立場や境遇を理解してアドバイスしてくれます。
同じ税理士でも「雇われ」と「事業主」では、寄り添った意見が言えるかに差が出てくるものです。
顧客の業種
税理士の顧客にあなたと同業種の顧客がいるか確認しましょう。業界的な商慣習の知識があった方が会計処理の間違いも圧倒的に減ります。また税務調査でも、業種特有の否認例などもあるので、情報共有の面でもかなりプラスになります。
税理士の探し方
税理士の選び方が上記のように8項目あります。これを満たすように選ぶには、インターネット検索や知人・友人の紹介で探していては、相当な時間と労力を要します。
効率よく楽に探すには税理士紹介サイトを使うのがおすすめです。
税理士紹介サイトとは、利用者と税理士をマッチングしてくれるサービスです。
利用の流れを大まかにまとめると以下のようになります。
- 利用者はWEB上で登録します。
- 税理士紹介サイトの担当者が電話にて希望の税理士についてヒアリングします。
- 登録税理士の中から希望に合う税理士を選定して紹介してくれます。
- 紹介の税理士と面談の上、契約するかどうかを判断します。
契約する場合は、税理士と個別の契約になります。断る場合は、税理士ではなく税理士紹介サイトの担当者に伝えると代わりに断ってくれ、別の税理士を紹介してくれます。これら全て無料で利用できます。
また、おすすめの税理士紹介サイトは以下の記事でランキング形式で紹介しています。併せてご覧ください。
おすすめの税理士紹介サイト【最新ランキング】主要5社を徹底比較!
税理士変更手順❸ 断り方に注意して解約する
現契約の税理士との契約を解除する場合、円滑に進めるためにも、断り方には注意が必要です。
やってはいけない税理士の断り方
税理士への不満を理由にする
税理士への不満を直接的な理由にするとトラブルを招くことがあります。例えば、レスポンスの遅さや税務調査の対応が不満であっても、そのまま伝えるのは避けた方が良いです。非難する理由を避け、冷静かつ穏便に対処しましょう。
顧問料の高さを理由にする
顧問料の高さを理由にすると、顧問料の引き下げ提案を受け、断りにくくなる可能性があります。最初から顧問料の高さを理由にしないことが重要です。
円満な税理士変更のためのポイント
誠実に変更理由を伝える
新しい事業展開に対応できる専門家が必要など、率直な理由を誠実に伝えることで、信頼関係を損なわずに変更が可能となります。
感謝の気持ちを伝える
現在の税理士に対して感謝の気持ちを忘れずに伝えることで、円満な離脱を促すことができます。良い関係があった場合には、その点を強調しましょう。
税理士変更の断り方で鉄板の2つのパターン
税理士の断り方、じつは鉄板の断り方があって、それは以下の2つです。
- 友人が税理士として独立して、以前から顧問税理士にする約束をしていた。
- 取引先との提携で、取引先指定の税理士との契約を求められた。
この2つの断り方の大きな特徴は、どれも、あなたにも税理士にも非がない。「しょうがない」という理由が成り立つことです。
言われた方の税理士も、良く使われる常套句なので、すぐ理解してくれるはずです。
税理士変更手順❹ 引継ぎ期間に必要書類を収受する
現在の税理士に預けている書類は、新たな税理士との業務の円滑な進行のためにも返却してもらいましょう。書類の返却に関しては、事前に相手方との調整が必要な場合もあるため、早めに手続きを進めることが重要です。
書類の準備と内容確認
- 必要な書類のリストを作成する
新しい税理士と相談して、引き継ぎに必要な書類のリストを作成します。このリストを元に現税理士に依頼することで、漏れを防ぎ、スムーズな引き継ぎを実現します。
- 引き渡し書類の内容確認
現税理士から引き渡される書類の内容を確認します。特に、以下の重要書類に注意を払いましょう。
税理士変更で用意する書類
- 3期分の確定申告書(法人・個人)の控え
- 3期分の決算書・勘定科目内訳明細書
- 3期分の総勘定元帳
- 税務署に提出した各種届出書の控え
- デジタルデータの取り扱い
書類の多くはデジタル形式で保存されている場合が多いため、デジタルデータの引き渡しについても注意が必要です。データ形式や媒体(USB、クラウドサービスなど)を確認し、新しい税理士が適切にアクセスできるようにします。
引き渡し手続きと時期の調整
- 引き渡し時期の調整
現税理士との引き渡し時期を慎重に調整します。可能であれば、年度末や四半期末などの忙しい時期を避け、双方にとって負担が少ない時期を選びます。
- 秘密保持契約の確認
現税理士と秘密保持契約を結んでいる場合、その内容を確認し、新しい税理士との間でも同様の契約を結ぶことを検討します。これにより、機密情報の漏洩を防止します。
- 書類の受領確認
全ての書類を受け取った際には、受領確認書を作成し、現税理士と新税理士双方の署名をもらいます。これにより、引き渡しが完了したことを明確に記録できます。
税理士によっては、他に届出関係も必要なこともあるので、手元に控えがない場合は現契約の税理士に確認してみましょう。
税理士変更手順❺ 新しい税理士と契約する
新たな税理士との顧問契約を結ぶ前に、契約内容や報酬体系、対応範囲などについて十分な確認を行いましょう。契約書や提案内容を詳細に検討し、納得のいく形で契約を進めることが大切です。
契約内容の確認
新しい税理士と契約する際には、契約内容の詳細を確認することが重要です。契約書には、以下の内容がが明確に記載されていることを確認しましょう。
- 提供されるサービスの範囲
- 料金体系
- 契約期間
- 解約条件
例えば、記帳代行、決算書作成、税務申告、税務調査対応などの業務内容、基本料金や追加料金の明示、契約の開始日と終了日、契約解除の条件や違約金の有無を把握することが必要です。
書面の確認と保存
契約内容は書面で明確にし、双方の署名捺印を行います。サービス提供前に見積書を確認し、内容が合意したものと一致しているか確認しましょう。
また、定期的な業務報告書の提出についても確認し、その形式や頻度を取り決めることが重要です。契約書やその他の書面は紛失を防ぐため大切に保管してください。
税理士の資格と信頼性の確認
新しい税理士が日本税理士会連合会に登録されていることを確認しましょう。
初回の面談で信頼関係を築き、税理士の対応やコミュニケーション能力を確認します。
また、税理士には守秘義務があるため、契約書でもこれを明文化しておくことが望ましいです。問い合わせ対応の体制や緊急時の対応、連絡手段などについても確認し、必要に応じて第三者(例えば弁護士)に契約内容を確認してもらうことも考慮します。
税理士変更の具体例
税理士変更でよく利用される税理士紹介サイト。税理士紹介サイトを利用して、税理士変更した具体例をまとめました。
税理士ドットコム
税理士ドットコムの特長
- 登録税理士数・累計実績が業界ナンバーワン
- 東証グロース上場企業が運営
- 業界でも屈指の運営年数
- 業界での知名度が高い
税理士ドットコムについてはこちらの記事でくわしく解説しています。
税理士ドットコムの評判をSNSの口コミを元に業界経験者が徹底解説
税理士紹介エージェント
税理士紹介エージェントでは、税理士報酬が大幅に削減できた事例や、税理士報酬は高くなったものの節税効果が5倍になるアドバイスを得た事例などもあります。
税理士紹介エージェントの特長
- 審査された税理士のみが登録しているので、質の高い税理士と出会える。
- 専属の担当者にあなたの言葉で伝えられるので、希望の税理士とマッチングできる。
- 見つかるまで何度でも無料で紹介してもらえるので、落ち着いて選べる。
- 面談した税理士と相性が合わなくても代わりに断ってくれるのでストレスがない。
- オンライン面談も選択できるので安心
税理士紹介エージェントについてはこちらの記事でくわしく紹介しています。
税理士紹介エージェントの口コミ・評判をSNSと体験談で辛口評価
税理士紹介ネットワーク
税理士変更でよくある疑問
税理士変更には、誤解や周知されていないことがけっこうあります。実務上よく聞いた、税理士変更に関する誤解には次のようなものがありました。
- 税理士変更すると税務調査が来る
- 税理士変更で銀行からの印象が悪くなる
- 前の税理士に財務内容を公言されるリスクがある
- 税理士同士の引き継ぎが面倒
これらの真意について解説します。
税理士変更すると税務調査が来るの?
税理士変更と税務調査には、何の因果関係もありません。
「税理士変更すると税務調査が来る」という噂がありますが、それは全くのデマです。
そのデマの根拠は、おそらく、
税理士が変わったことで会計方針が変わり、決算書上の数値の変動があったことだと推測できます。
税務署は税務調査に行く際、どの会社に行くかを選定します。その指標の一つとして粗利率の変動があります。
粗利とは売上から売上に直接係る原価を引いた利益です。
物販の会社などでいうと、売上から仕入を引いた金額をいいます。
なぜ、粗利の変動に税務署が注目するかというと、、
売上を隠している可能性があるからです。
ポイント
売上を隠す人は、売上だけを隠して仕入れを隠すことはあまりありません。つまり、売上だけを隠して、仕入れを隠さないと、前期と当期を比べた場合や、同業他社と比較して、粗利率が大きく変動してしまうんですね。
例えば、前の税理士は原価を仕入高だけにしていたのに、次の税理士が仕入に係る送料も仕入に含めるべきとして、原価項目に参入すると、粗利は大きく変動します。
税務署は、税理士変更で「会計方針が変わった」ことまで把握していないです。
なので、粗利率が大きく変動すると「調査対象に選定される」ことはあります。
こんな感じで、税理士変更後に
税理士による会計方針変更で粗利率が大きく変動
▼
税務調査の対象になって税務調査が来る
という結果になったのを税理士変更で税務調査が来たと認識されていることが原因ではないかと推測できます。
税理士変更による税務調査についてはこちらの記事でくわしく解説しています。
税理士変更で税務調査がくる2つの原因
税理士変更で銀行からの印象は悪くなる?
税理士を変更したことで、銀行からの印象が悪くなることはありません。
税理士を変更すると、
- 粉飾決算を以前の顧問税理士に拒まれて税理士変更したんじゃないか
- 脱税まがいのことがあって税理士変更になったんじゃないか
という目で銀行から見られるのでは?という悩みをよく聞きます。
結論から言うと、税理士を変更することで銀行からの見る目は全く変わりません。
税理士の対応がマズくて税理士変更になるケースは多々あるし、財務状況が悪くなければ、銀行は税理士が変更になったことを勘ぐったりしないのでご安心ください。
前の税理士に財務内容を公言されないか心配
税理士には守秘義務があり、契約解除後も遵守する義務があります。
税理士には、守秘義務があり、税理士法で下記のように定められています。
(秘密を守る義務)
第三十八条 税理士は、正当な理由がなくて、税理士業務に関して知り得た秘密を他に洩らし、又は窃用してはならない。税理士でなくなつた後においても、また同様とする。
税理士法(昭和二十六年法律第二百三十七号)
もし、守秘義務違反があった場合には、罰則として二年以下の懲役又は百万円以下の罰金が科せられます。
第八章 罰則
第五十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
一 税理士となる資格を有しない者で、日本税理士会連合会に対し、その資格につき虚偽の申請をして税理士名簿に登録させたもの
二 第三十七条の二(第四十八条の十六において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
三 第三十八条(第五十条第二項において準用する場合を含む。)又は第五十四条の規定に違反した者
四 第五十二条の規定に違反した者
税理士同士で引き継ぎはするの?
実務上は「引継ぎはしません」。過去の申告書、決算書の書類がそろえば、基本的には大丈夫です。
税理士は税務会計のプロなので、過去に税務署に提出した申告書・決算書をみれば、その会社の税務・財務の状況は大体わかります。
なので、実務上は、以前の税理士と新しい税理士とで引継ぎはしません。
新しく顧問になる税理士からすれば、
あなたから事業・経理状況の概況と用意すべき書類を提示してもらえば対応できます。用意すべき書類は以下のものです。
- 3期分の確定申告書(法人・個人)の控え
- 3期分の決算書・勘定科目内訳明細書
- 3期分の総勘定元帳
- 税務署に提出した各種届出書の控え
まとめ
税理士変更は、知らないとハードルが高いように感じますが、ポイントを抑えればリスクは回避したうえで実行可能です。
まとめると、
実行のタイミングは、決算日後3ヶ月以降で、できるだけ早いほうがベストです。
順序としては以下の流れで進めていくとスムーズです。
税理士変更の流れ
- 契約解除できるか契約内容の確認
- 切り替え前に新しい税理士を見つけておく
- 新しい税理士への切り替えの日付を決める
- もめない様に現在の税理士に断りを入れる
- 現在の税理士と返却書類などの確認をする
また、税理士選びは次の基準を参考に、税理士紹介サイトを利用するのをおすすめします。
税理士選びのポイント
- スキル・経験年数
- 人柄
- サービス内容
- あなたとの相性
- 税理士報酬
- ITリテラシー
- 事務所規模
- 顧客の業種
税理士のサービスは、対価を支払って受けるサービスです。費用負担が生じているのに、十分なサービスを受けられずストレスがたまるようなら本末転倒です。
できるだけ早く行動に移して、ビジネスに注力できる環境を整えましょう。