税理士選びに失敗すると、税務調査のときに、主張すべき反論もせずに税務調査官の言いなりになってしまうようなことがあります。
税務調査官側についているような頼りない姿勢の税理士だったらガッカリですよね
腹立たしいことに、この場合でも税務調査での追徴税額は、納税者であるあなたが負担すべきものとなります。
とはいえ、税務調査に強い税理士をどうやって探して、どうやって選べばいいかなんてわからない。
そこで、この記事では、
この記事の内容
- 税務調査に弱い税理士の失敗事例
- 税務調査に強い税理士の特長
- 税理士に税務調査に立ち会ってもらうメリット
- 税務調査に強い税理士の探し方
について税務の実務に通算18年従事した現場の経験者視点でまとめました。
税務調査とは?概要と具体的な流れ
税務調査には「強制調査」と「任意調査」の2種類があります。強制調査は、脱税の疑いがある納税者に対して、裁判官の許可を得て証拠資料を押収し立件を目的とする調査です。一般的に税務調査と呼ばれるのは、申告内容の誤りを確認するために行われる任意調査です。
任意調査の流れ
任意調査は、以下の流れで進みます。
- 準備調査: 税務署内で、申告書などを基に調査を行います。
- 事前通知: 調査官から、調査日時や場所などを連絡されます。
- 実地調査: 税務署員が納税者の事業所に赴き、調査を行います。
- 税務署内での審議: 調査官が調査内容を税務署内で検討します。
- 修正申告: 誤りがあれば、修正申告書の提出を求められます。
実地調査の内容
実地調査では、主に以下の内容が調べられます。
- 帳簿書類の確認: 総勘定元帳、請求書、領収書など
- 納税者への聞き取り: 事業内容、経理処理の方法など
- 現金の確認: 飲食店など、現金商売の事業者に対しては、レジや金庫の現金を確認
納税者側の立ち会い
納税者の代表者は、初日の聞き取りと最終日の税務署からの指摘の際に同席する必要がありますが、それ以外の調査官の机上調査の時間には常駐する必要はありません。ただし、質問が出てくるため、要所での対応が求められ、その対応ができれば外出も可能です。
経理担当者は調査官の調査時に書類の提示や経理処理の説明を求められますが、同室にいる必要はなく、対応できれば別室で通常業務を行っても構いません。
税務調査での2つの失敗事例
税務調査に弱い税理士を選ぶとどんなリスクがあるのか?yahoo知恵袋にあった事例から検証してみます。
税務知識が浅く調査官よりの対応
税務調査に弱い税理士を選ぶと、肝心の税務調査で頼りにならないということがあります。以下はyahoo知恵袋にあった相談ですが、以下の2点に不信感があったようです。
yahoo知恵袋の事例
- 業務に関する知識が浅く、それに関連する税法などの把握が弱い
- 税務調査における姿勢は調査官側についている印象。非常に頼りない。
出典:yahoo知恵袋
税務調査でアドバイス不足が露呈した事例
顧問契約をしているのに、定期訪問があっても雑談ばかり、それどころか顧問契約しているのに、定期訪問すらないこともあります。
下の事例は、定期訪問の都度アドバイスしてくれれば対処できたのに、アドバイスがなかったおかげで、税務調査で否認され、追徴課税が発生するというケースです。
yahoo知恵袋の事例
- 税務署から多くの問題点を指摘され、税理士の職務怠慢と感じる。
- 商品券の経費としての認識や記録の不備について指摘された。
- 専従者給与の金額についても税務署から問題が指摘され、税理士は今までに説明や対応してこなかった。
- 他にも飲食代などの経費が否認されるなど、税理士の対応に不満がある。
- 友人の顧問税理士は問題点に対応してきたが、今の税理士は対応が不十分であり、税理士を変える予定。
出典:yahoo知恵袋
税務調査に強い税理士の特長
税務調査に強い税理士は、専門知識・豊富な経験・交渉力・コミュニケーション能力を備えています。また、クライアントへの継続的なフォローアップを行うことで信頼を得ています。前述の2つの失敗事例にあったような問題を避けるためには、このような特徴を持つ税理士を選ぶことが重要です。
専門知識と豊富な経験
最新の税制改正や判例について常に情報をアップデートしています。また、過去に多くの税務調査に立ち会った経験がある税理士は、調査官の質問や指摘に的確に対応できるスキルを持っています。
交渉力とコミュニケーション能力
税務調査に強い税理士は、税務調査の結果に対して適切に反論し、必要に応じて修正申告の減額交渉を行う能力があります。また、調査官と良好な関係を築きつつ、納税者の立場を守るために調査官に対しても毅然とした態度を取ることができます。
クライアントへのサポート体制
税務調査に強い税理士は、税務調査に備えて事前に資料をチェックし、問題点を洗い出しておくことで、調査当日に慌てることがないようにしています。また、税務調査に関する疑問や不安を事前に解消し、調査当日に適切な対応ができるように指導します。
透明性と信頼性
税務調査に強い税理士は、クライアントに対して常に透明な対応を行い、信頼関係を築いています。特に、調査中に予期しない問題が発生した場合でも、誠実に対応し、クライアントの信頼を維持します。
継続的なフォローアップ
税務調査が終了した後も、クライアントの疑問や不安に対して継続的にフォローアップを行います。例えば、税務署内での審議結果に対する対応や、将来の税務リスクに対するアドバイスを行っています。
税理士に税務調査に立ち会ってもらうメリット
税務調査は、納税者にとって非常に精神的な負担が大きいものです。調査内容が複雑で専門的な知識が必要となるため、調査官の質問に適切に答えられないのではないか、申告内容に誤りがないか不安になるのは当然です。
税務調査に強い税理士に立ち会ってもらうことで、以下のような精神的なベネフィットを得ることができます。
安心感・心強さ
税務調査に詳しい専門家が立ち会ってくれることで、調査内容を理解し、適切に対応できるという安心感・心強さを得ることができます。調査官とのやり取りも税理士が間に入ってくれるため、精神的な負担を軽減することができます。
不安や疑問の解消
調査官から質問されたり、指摘を受けたりした際に、税理士が丁寧に説明してくれるので、不安や疑問を解消することができます。また、調査内容について疑問点があれば、いつでも質問することができます。
緊張感の緩和
税務調査は、納税者にとってフォーマルな場であり、緊張感を感じるのは当然です。しかし、税理士が立ち会ってくれることで、調査官との会話が円滑になり、緊張感が緩和されます。
自尊心の保護
税務調査では、調査官から厳しい指摘を受けることもあります。しかし、税理士が間に入ってくれることで、自尊心を傷つけられることなく、冷静に対処することができます。
アフターフォロー
修正申告書の作成も専門知識が必要です。
税務調査後に、修正申告が必要になった場合、税理士が迅速かつ正確に修正申告書を作成します。また、今後の税務調査のリスクを軽減するための対策も講じることができます。
税務調査に強い税理士の探し方
税務調査に強い税理士を探すといっても、
初見で、税務調査に強いかどうかの判断は難しいです
では、税務調査に強い税理士はどうやって探すのか?というと、税理士紹介サイトを活用するのがおすすめです。
ポイント
特に登録税理士を審査している税理士紹介サイトなら、プロが客観に選んだ税務調査に強い税理士を紹介してくれます。
税理士紹介サイトとは
税理士紹介サイトとは、税理士を探している人と税理士のマッチングサービスです。
希望する税理士像や依頼する業務内容を税理士紹介サイト担当者に伝えると、希望に合致する税理士を登録税理士から選定し紹介してくれます。ほとんどの場合、紹介手数料は税理士が負担するので無料で利用できます。
税理士紹介サイトのメリット
税理士紹介サイトを利用するメリットとしては以下の3つがあります。
税理士紹介サイトのメリット
- 専属の担当者にあなたの言葉で伝えられるので、希望の税理士とマッチングできる。
- 見つかるまで何度でも無料で紹介してもらえるので、落ち着いて選べる。
- 面談した税理士と相性が合わなくても代わりに断ってくれるのでストレスがない。
専属の担当者にあなたの言葉で伝えられるので、希望の税理士とマッチングできる。
担当者が専属なので、あなたの希望に合った税理士を紹介してくれます。
また、税理士紹介サイトの担当者は、丁寧にヒアリングしてくれるので、あなたのことばで伝えられ、ミスマッチが起こりにくいです。
見つかるまで何度でも無料で紹介してもらえるので、落ち着いて選べる。
税理士紹介サイトの紹介料は、利用者は無料です。
回数に限りがあるわけではないので、希望に沿うことができなければ、再度紹介を依頼できます。スキル・人柄も申し分ない、あなたに合った税理士を落ち着いて選ぶことができます。
面談した税理士と相性が合わなくても代わりに断ってくれるのでストレスがない。
面談した税理士と相性が合わなかった場合など、断るときは、担当者が代わりに断ってくれます。
面談した相手にお断りを言うのは、気が進まないしストレスですよね。その部分を代行してもらうのは大変ありがたいです。
おすすめの税理士紹介サイト
税務調査に強い税理士を探すのにおすすめの税理士紹介サイトは税理士紹介エージェントです。
税理士紹介エージェントの主な特長を挙げると以下のとおりです。
- 提携税理士を審査している
- 担当者が実務に精通しているので対応の質が高い
- 契約前から契約後までサポートが充実している
提携税理士を審査している
税理士紹介エージェントでは、提携税理士を人柄・経験・スキルなどを審査しています。単に税理士数が多いだけでは、いい税理士に出会う確率は上がりません。審査を実施し質を担保していることでいいマッチングに繋がります。
担当者が実務に精通しているので対応の質が高い
税理士紹介エージェントの担当者は、一定知識を備え、実務に精通しています。そのため、税理士を選定する際、利用者側の事業の内容、規模などを見据えたうえで適切な税理士の選定が期待できます。
契約前から契約後までサポートが充実している
担当者のサポートについても、「顔合わせ同席、税理士報酬の交渉代行、契約後フォロー」と契約前から契約後まで一貫して手厚いサービスが期待できます。
税理士紹介エージェントの評判についてはこちらの記事で解説しています。
税理士紹介エージェントの口コミ・評判をSNSと体験談で辛口評価
税理士紹介サイトの主要5社についてはこちらの記事で紹介しています。
税理士紹介サイトのおすすめ【最新】主要5社を徹底比較!
税理士紹介サイトは違法ではない
税理士紹介サイトは違法では?と懸念する人もいますが、税理士の紹介は違法ではなく合法です。税理士紹介が違法との誤認情報があるのは、税理士資格を持たない偽税理士への業務の斡旋が税理士法で禁止されており、その法令の間違った解釈が浸透しているためです。
税理士は、税理士会に登録し所属することで税理士業務を行うことができます。
税理士会の会則には、次のようなものがあります。
(非税理士との提携の禁止)
第61条 税理士及び税理士法人は、法第52条又は法第53条第1項若しくは第2
項の規定に違反する者から業務のあっ旋を受けてはならない。(平成 26.10.15 変更)
(平成 2.1.23 旧第 57 条繰下、平成 13.10.18、平成 26.10.15 変更)
日本税理士会連合会会則
非税理士との提携の禁止という条文で、「業務の斡旋を受けてはならない」とあるので、一見税理士以外から紹介を受けることを禁止するもののように見えます。ただし、前文に法第52条又は法第53条第1項若しくは第2項の規定に違反する者とあります。
つまり、「税理士法の第52条と53条に違反するものからの斡旋」と限定されているんですね。
では、「税理士法の第52条と53条に違反するもの」とは何かというと、
(税理士業務の制限)
第五十二条 税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない。
(名称の使用制限)
第五十三条 税理士でない者は、税理士若しくは税理士事務所又はこれらに類似する名称を用いてはならない。
2 税理士法人でない者は、税理士法人又はこれに類似する名称を用いてはならない。
税理士法(昭和二十六年法律第二百三十七号)
第52条は税理士でないのに税理士業務を行う人、第53条は税理士でないのに税理士を名乗る人となっています。
つまり、嚙み砕いて言うと、いわゆる偽税理士が窓口になって斡旋するような業務を税理士が請け負ってはいけないということを言ってるわけなんです。
そもそも、税理士を紹介することが違法なら、友人・知人が「いい税理士だから紹介する」ということ自体、違法になってしまいますよね。
くわしくはこちらの記事で解説しています。
税理士紹介や紹介手数料は違法ではない理由を根拠をもとに解説しました
おすすめの
まとめ
税務調査に弱い税理士を選ぶと、調査時に頼りにならず、以下のようなリスクがあります。
- 税務知識が浅く、調査官寄りの対応をする税理士
業務や税法に関する知識不足が目立ち、調査官に頼りない印象を与えます。
- 日頃からアドバイスをしない税理士
税務調査で否認され追徴課税が発生する事例があります。商品券の経費認識や記録の不備、専従者給与の金額、飲食代の経費などで問題が指摘され、税理士の職務怠慢と感じることが多いです。
一方、税務調査に強い税理士は、専門知識・豊富な経験・交渉力・コミュニケーション能力を備え、クライアントへの継続的なフォローアップを行うことで信頼を得ています。
彼らは最新の税制改正や判例に精通し、多くの税務調査に立ち会った経験があります。また、適切に反論し、修正申告の減額交渉を行う能力があり、クライアントに対して透明な対応を行い信頼関係を築いています。税務調査終了後も継続的にフォローアップを行い、将来の税務リスクに対するアドバイスを提供します。
税務調査に強い税理士を探すには、税理士紹介サイトを利用するのが手っ取り早い方法です。希望する税理士像や依頼する業務内容を伝えると、サイト担当者が希望に合った税理士を紹介してくれます。
Q&A
「税務署に目をつけられる個人」はどんな人か?
「税務署に目をつけられる個人」はどんな人か?
それを知るには、国税庁が毎年発表する税務調査状況の報道発表を見るのが一番です。それによると、主な取り組みとして以下の5つが挙げられています。
つまり、直近の令和3事務年度では、以下の5つの項目に属する個人に積極的に調査が行われていたようです。
税務署に目をつけられる個人
- 富裕層
- 海外投資を行っている個人
- インターネット取引を行っている個人
- 無申告者
- 消費税の輸出物品販売場制度の悪用をする個人
メルカリの無申告は税務署になぜバレる?
メルカリのせどりの無申告がバレる経緯は、➀メルカリ自体の税務調査と②個人口座の銀行調査の2つが主な経緯です。
- ➀メルカリ自体の税務調査
- メルカリを運営する株式会社メルカリも日本の法人なので税務調査を受けます。
税務調査では、税務署は出品者データも調べます。
調べた出品者データを税務署の確定申告書の提出データと照合すれば、確定申告書の提出がない出品者は無申告と判明します。
- ②個人口座の銀行調査
- 税務署には、銀行に出向いて銀行の入出金履歴を調べる専門の調査チームがあります。個人の入金履歴で金額が大きいものや入金が頻繁にあればマークされます。
その個人が確定申告書を提出しなければ、無申告が疑われます。
税務調査では個人はいくらから対象か?
結論から言うと、明確な基準があるわけではないです。ただ一般的には、
- 副業の場合は所得で20万円
- 個人事業主は売上1,000万円
が基準と考えられます。
理由は、副業の場合20万円を超えると、確定申告義務が発生すること、個人事業主は1,000万円を超えると消費税の課税事業者として納税義務が発生することです。